青い瞳みてきた そのニ

青い瞳見てきました。2回目です。ちなみに前回見たのは2週間くらい前なので、いい感じに記憶もなくなり、深い部分まで理解出来ず(浅い部分も理解出来ず)、何やら分からんな…という印象で、私の青い瞳ライフは終了しました。

そんなわけで私の思うサム。というより、もはやただの感想です。


やはりというか、何というか、サムはこの物語で孤独。誰とも密な接点がなくって、唯一の接点であったミチルとも別れてしまう…そんなサム。そんなサムが、ツトムの次に名前が連なるのがとても不思議でした。ジャニーズ補正かとも思いました。そんなサム。そして、日本人らしくない名前にも少し違和感。どこの国の方かと思えば、別にそのあたりは重要でない。名前でも浮く。そんなサム。
観劇しながら、「もしかしてサム=someという意味なんだろうか…?」という仮説を立ててみる。someone,someday,something。常に不特定な漠然としたものを表すsome。つまりサムは1人の人間として存在していなくて、あらゆるものの象徴的な存在ではないか…?と考えてみるも、特にそんな様子はなかったりして。そんなサム。難しいことは、分からない。

1幕では、グレードアップした他の役者さんに圧倒されているように思えました。台詞に説得力があって、迫力があって、問い詰めてくる、訴えかけてくる、そんな演技に圧されてるかんじ。サムは何だか未完成で、懸命についていくような感じ。その未熟さがとても繊細で、危うげ。確かなことがわからなくて、難しいことを考えて、色々なことが気になりすぎる。周りの人間に翻弄されているサム。コモリを蹴ったトシミツに対して、「トシミツ、お前は自分の意思でコモリを蹴ったんだ」と言うサム。でも果たしてきみは、トシミツにそんなことが言えるんだろうか?

2幕。
序盤、サムいい感じにネジが外れます。脳みそ、トンカチで叩かれたかな?って感じになる。絶妙にブッとんでいて、弾けていて、生き生きとしていました。頭おかしくなられてしまったね…っていうのがよく分かる。1幕は、まあまあマトモそうに見えたんですが、2幕はただの変人。2週間前のサムは言動が理解不能でしたが、今のサムは言動が変人。何かを意図して発言・行動している、それが何を意図しているのか分からない…のではなく、根本から何かおかしくなってなんかもうとりあえずこいつおかしい!っていう感じ。何が彼をそうさせたかは置いといて、もうこの「こいつおかしい!」演技はピカピカに磨かれていて、いっそ清々しい気持ちになりました。でもサム、なにがきみをそこまでさせたか、私には分からない…。

そして、ミチルと別れるサム。ミチルは、もしかしたらサムとコモリと3人でいた、その時間を愛していたのかも。ミチルが望んでいたのは青春。望んでいた青春は悲劇を生んだけれど、青春は訪れた。ちゃんと恋をしたから。サムという男に恋をしたから。だからミチルは間違っていなかった。という筋道のために、サムは利用されていたのかも。
はじめに、サムは「ツトムが自分をミチルの恋人として適役かどうか品定めに来たと思ったが、自惚れだった」と言います。いわゆる、思い過ごし。そして今回も、サムはミチルと愛し合っていて、コモリと3人でなくっても、2人でもお互いの名前を呼び合って存在を確かめ合うことが、幸せだと思っていたけど、それも、思い過ごし。結局、サムをゼロから作ってくれる人は誰もいない。
つらい!サム、つらい!そんな自分を「笑っているんだ」と言いつつ、泣くサム。つらい!サムつらい!社会から浮きつつも、ゼロになりつつも、自身を作ってくれる他人がたくさんいるツトムとは違って、サムには誰もいない。つらい!つらいよサム!

川を渡ったあの時から、別の時間が始まった。別の物語が始まった。自身は、物語の登場人物に過ぎない。誰かの物語を構成する人物に過ぎないサム。(やはりsomeだったか…?!と、うっすら思う)

サムが孤独な一方で、ミチルもまた孤独だと思いました。だからあの2人にはずっと恋人でいて欲しかった。ミチルは「いいわね、3人って」って言ってたけど…。みんながばらばらになってしまって、みんなが孤独になってしまった。平和な方へ来たはずなのに。失ったすぎた時間の中で、「サムという男に恋をした」ということだけは、確かなものにしておきたかったのかな。でもミチルは一番純粋で、誰にも流されない自己を持っている人物だと思いました。髪の毛を赤くしたのは、きっと誰かに助けて欲しかった。


とにかく、2幕の序盤の訳わからないことを話すサム、生き生きしていて本当にすごかった!1幕で少し圧されていた印象もあって、その野暮ったい演技から一転したかんじがとてもいい!きみはもっと狂うべきだよ…とか思いました。上田くんは、狂ってきたりネジ外れたりしてからが真骨頂なんですかね。本当にすごい印象的!今はまさに発   狂!というかんじですが、狂い方は様々。狂気は様々。いろんな狂気を得て、演じてほしいです。個人的には、2週間前のもうこの世を呪ってやるみたいな勢いの「かなしい、かなしい、かなしい」の言い方が好きでした。今回は、ただただ発狂されてました。

そして、アライさん!アライさんの演技が、ツトム化しているなーと思いました。もっとクールで落ち着いていて、大人びた人物だと思っていたのですが、感情の起伏が激しくて、演技や仕草がオーバーになっていた印象。他人を見下していると感じたのですが、今回はチャラ度が増していました笑

全体的にみんなワァワァギャアギャア叫ぶ中、大声を出しつつも落ち着きのあったのが蘭ママでした。舞台はいつも不安定な人物で溢れていて、こっちまで頭おかしくなってしまいそう、そんなとき優しく現れるのが母さんでした。ツトムに優しく接するときも、父さんに叱るときも、タカシマさんに女性らしく話すときも、高笑いするときも。お母さん独特の優しさとか、力強さを感じました。戦争を引き起こすのは、お母さんなのかもしれない。それくらい、母という存在は力を持っていると思いました。




良い演技とは?役になりきるとは?2週間前に比べて、役者さんが力強く大きな声で叫ぶときが多くなった気がします。抑揚があることは分かりやすくていいのですが、少しワンパターンさを感じました。淡々とした台詞の中にも、キャラクターというのは存在するのではないかな。舞台をたくさん見ているわけではありませんが、そんなことを思いました。なので心無いことをいうと、2週間前の舞台のほうが好きでした笑。まあ、初見補正かもしれませんが。でも、行ける機会があればもう一度行こうかなと思っていましたが、まあいいかと思ったり。そんな、青い瞳でございました。